日本行動計量学会について

2015.06.24更新

理事長の挨拶

前向きに

繁桝 算男

 行動計量学会の理事長の職を務めることになりました。この職の重要さと責任の重さをつくづくと感じております。会員の皆様と力を合わせて、学会のさらなる発展のために努力する所存ですので、よろしくお願いいたします。として本学会をとらえています.そのような構造は現在も変わっていないと思います.

 行動計量学会のこれまでの軌跡を振り返り、将来の方向性について考えるべき時期であるという岡太前理事長のお考えで、第2次活性化委員会が発足し、昨年報告書がまとまりました。統計学的手法が、現代社会が抱える種々の問題解決のために役立つことが認識され、世間の脚光を浴びているなかで、行動計量学会が期待されるほど輝いておらず元気がないのではないかという問題意識が、この委員会の発足につながったものと思われます。

 活性化委員会の報告書では行動計量学会の将来の活性化の柱を次の3つにまとめています。
(1)組織としての学会の発展:学会が楽しく魅力的で,学会に参加することが日々の研究や実践の糧になることが理解され,結果として,学会員が増えること。
(2)行動計量学を支える統計理論や技法の発展:行動計量学に関する理論的を深化させ,有効な技法の開発をさらに促進すること。
(3)社会への貢献:現代社会が抱える諸問題の解決に、行動計量学の発展が貢献すること。また、専門的見地から、問題解決のために望まれる意見を社会に対して発信すること。
 このような抽象的なレベルの表現であれば、反対の人はいないでしょう。しかし、問題は、それをどのように実現するかという方策であり、活性化委員会も詳細に具体的提案をしております。そしてもっと重要なのは、実行することです。活性化委員会の提案も実行の段階で取捨選択され、変更されることも多々あるでしょうが、いずれにしても、新たなことを日々実行するのが大事です。

 行動計量学会は、それほど若い学会であるとは言えなくなりました。歴代の理事長も、林知己夫先生を初代として、肥田野直先生、柳井晴夫先生、水野欣司先生、杉山明子先生、飽戸弘先生、岡太彬訓先生が着任され、私で八代目です。設立されたころは、多変量解析が注目され、因子分析や数量化理論の数理的実践的研究の牙城として会員数も増加しました。しかし、因子分析等が統計学の基礎の教科書にも記述されるようになった後は、前衛的に行動計量学会が先頭に立って、統計学関連の研究者や実践者を引き込むという輝きが薄れたように思います。今、ビッグデータの分析がもてはやされています。多変量解析は、「社会の問題解決のためには、一つの変量から複数の変量を同時に扱ったほうが情報が多い」という当たり前の常識に合致して発展しました。同様に、複数のいくつかの変数よりも、非常に多くの変数が利用できるならば、それらのデータを全部一緒に扱う手法の発展も当然の動きです。また、統計的検定が優勢な時代に、実験や調査の対象の数は”ほどほど”が良いとする数理統計学的指針に対し、人数は多いほうが情報が豊富になるというのも当たり前であるかと思います。ビッグデータ分析だけではなく、ネットワークモデル、機械学習、ベイズ的方法など、数理統計学の伝統からやや外れるかもしれないアプローチはほかにもたくさんありそうです。ここまで挙げたアプローチがすでに教科書的になっているのかもしれません。そうだとすれば、行動計量学会のような学際的、学問融合的な学会こそ、より新しいアプローチを育む場となるべきであると考えます。

 新しい手法の担い手になるために行動計量学会はよい位置にあると言えます。行動計量学という確たる専門分野があるわけではなく、いろいろな分野の研究者、実践家が集まっています。各大学に学科や学部があり、人材が常に豊富な大きな分野の会に比べてハンディキャップであるとも言えるかもしれません。しかし、統計的手法について、同じ手法が別の言葉で語られていたり、源流が同じ手法が応用分野の必要性に応じて特異な発展をしていることを、互いに学び、新しい統計理論や手法を発展する場として行動計量学会は発展していきます。

 行動計量学会が常に前向きに、将来を先取りするような学会であってほしいとねがっており、未来に向かって、社会から期待される学会になるように、皆様のご協力にすがりながら、微力を尽くしたいと思っております。

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